食事摂取基準(2020年版)でわかる多量ミネラル

健康について学ぶ 厚生労働省から学ぶ栄養
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世の中の怪しげな情報に惑わされないために大事なのは、まずオフィシャルな情報に当たることです

ということで、厚生労働省の栄養摂取基準である「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を読み解いています

今回は多量ミネラルについてです

 

↓総論はこちら

食事摂取基準(2020年版)でダマサれない栄養知識を身につける
栄養周りの情報はとにかく玉石混交で、商品マーケティングのために発信されていることも珍しくありません。必要以上に不安をあおられないようにするために、まずは厚生労働省の栄養摂取基準で基本を学びましょう!

 

私の主観で重要度を★の数で表現しています(そもそも過剰なものを除く)

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ナトリウム(過剰)

ナトリウムは、細胞外液の主要な陽イオン(Na+)であり、細胞外液量を維持している。浸透圧、酸・塩基平衡の調節にも重要な役割を果たしている(中略)日本人のナトリウム摂取量は、食塩摂取量に依存し、その摂取レベルは高く、通常の食生活では不足や欠乏の可能性はほとんどない。ナトリウムを食事摂取基準に含める意味は、むしろ、過剰摂取による生活習慣病の発症及び重症化を予防することにある。この観点から、後述するように目標量を設定した。

よく悪者にされがちな塩分(塩化ナトリウム)ですが、より厳密にいうとナトリウムが問題とされています

塩分量とは異なりますのでご注意ください

生命の維持に重要な栄養素ではあるものの、現代生活では取り過ぎの傾向があります

必要量はかなり少なく、基本的には取り過ぎ

適切な身体機能のために必要な最低限のナトリウム摂取量については十分に定義されていないが、世界保健機関(WHO)のガイドラインには、おそらく、わずか200〜500 mg/日であると推定されると記載されている

(中略)しかし、実際には、通常の食事では日本人の食塩摂取量が1.5 g/日を下回ることはない。 ただし、高温環境での労働や運動時の高度発汗では、相当量のナトリウムが喪失されることがある。多量発汗の対処法としての水分補給では、少量の食塩添加が必要とされる8)。近年の我が国の特に夏季の気温の上昇を考慮すると、熱中症対策としても適量の食塩摂取は必要であろう。

通常の食事であれば3倍以上の量を日本人は摂取しているので欠乏の心配は無いとのこと

ただし、ごぞんじの通り汗をたくさん書く場合は意識して摂取してもいいかもしれませんね

(ナトリウム500mgは食塩1.5gに相当しますが、日本人はおおよそ10g近くの食塩を摂取しています)

減塩はやっぱり重要。合わせてカリウムも摂るのが望ましい

 ナトリウムは、食品中ではナトリウム塩又はナトリウムイオンの形で存在するが、ヒトはその多くを塩化ナトリウム(NaCl)として摂取している。そこで、ナトリウムの摂取量を食塩相当量で表現することが多い。食塩相当量を通称として食塩と呼ぶこともあり、塩分という呼び方も用いられている。しかし、塩分という表現は、食塩又は食塩相当量のみを意味しているわけではない。そのため、塩分という呼び方には注意を要する。

ナトリウムの摂取源は食塩の他に、通常の食品にもナトリウムとして含まれます

大部分は食塩から摂取しているとのことなので気にしなくて良さそうですが、食塩以外にも摂取源があるよということだけ

ナトリウムに関しては耐用上限はありません

どれだけ摂ってもいいというわけではなく、基本みんな取り過ぎで設定する意味がない

 

ただし高齢者は極端にナトリウム制限をするとフレイル(虚弱)を招くかもとは言われております

カリウムにはナトリウムを排出する作用がある

個人の感受性の違いが存在するが、ナトリウムが血圧の上昇に関与していることは確実である。一方、カリウムは尿中へのナトリウム排泄を促進し、血圧を低下させる方向に働く。したがって、カリウムでは、ナトリウム/カリウムの摂取比も重要と考えられる

厳密な量までは言及されていないものの、”カリウムで塩分が排出される”というのは正しいということですね

減塩自体も大事ですが、カリウムもたっぷり摂取して”ナトリウム/カリウム比”を改善するのがよいです

高血圧予防のための塩分摂取量

国民健康・栄養調査の結果を見ると、日本人の食塩摂取量は、前回(2015 年版)設定した目標量には達していないものの、減少傾向にある。我が国を始め各国のガイドラインを考慮すると高血圧の予防、治療のためには、6 g/日未満の食塩摂取量が望ましいと考えられることから、できるだけこの値に近づくことを目標とすべきであると考えられる。

かといって控えるにも基準がほしいところで、高血圧予防ラインがそれにあたります

国際的には6g/日がガイドラインですが、日本では現実的でないとして7.5~6.5g/日未満としています

カリウム(重要度★★)

健康な人において、下痢、多量の発汗、利尿剤の服用の場合以外は、カリウム欠乏を起こすことはまずない42)。日本人は、ナトリウムの摂取量が諸外国に比べて多いため、ナトリウムの摂取量の低下に加えて、ナトリウムの尿中排泄を促すカリウムの摂取が重要と考えられる。また、近年、カリウム摂取量を増加することによって、血圧低下、脳卒中予防につながることが動物実験や疫学研究によって示唆されている

ということで続いてカリウムです

野菜や果物に多く含まれ、加工や生成が進むほど減少するとのことです

通常の食生活でカリウム不足になる可能性は低いが…

 カリウムは、多くの食品に含まれており、通常の食生活で不足になることはない。また、推定平均必要量、推奨量を設定するための科学的根拠は少ない

基本的にカリウムが欠乏することは無く、日本人は通常の生活で失われる分の倍程度を平均的に摂取しています

一応、日本人の平均的な摂取量である2000mg/日を目安量として設定しています

カリウムの不足より、後述するナトリウムの排出を目的としてより多くを摂ることを勧めています

ナトリウム排出目的のカリウム摂取量は3510mg/日

WHO のガイドライン39)では、成人の血圧と心血管疾患、脳卒中、冠動脈性心疾患のリスクを減らすために、食物からのカリウム摂取量を増やすことを強く推奨し、カリウム摂取量と血圧、心血管疾患などとの関係を検討した結果、これらの生活習慣病の予防のために3,510 mg/日のカリウム摂取を推奨している

日本もWHOと同じ値を目標値として設定しています

ただ、前述したように日本人は平均2000mg/日しか摂取していないので、大幅に足りていないことになりますね

 日本人のナトリウム摂取量からすると、一般的にはカリウムが豊富な食事が望ましいが、特に高齢者では、腎機能障害や、糖尿病に伴う高カリウム血症に注意する必要がある

高齢者や既往症がある場合はご注意ください

過剰摂取のリスクも低いと思われる

カリウムは多くの食品に含まれているが、腎機能が正常であり、特にカリウムのサプリメントなどを使用しない限りは、過剰摂取になるリスクは低いと考えられる。このため、耐容上限量は設定しなかった。

(サプリメントを除いて)耐用上限の設定はありません

カルシウム(重要度★★★)

カルシウムの必要量の生体指標としては、骨の健康が重要である。また、カルシウムの摂取と高血圧や肥満など生活習慣病との負の関連が報告されているが、カルシウム摂取による予防効果は確立されているとは言えず51)、現時点では、骨の健康以外を生体指標としてカルシウムの必要量を決めるのは尚早であると考えられる。

カルシウムにも生活習慣病予防の可能性はあるかもしれないが、現状は骨との関係しか認めていないとのことです

99%は骨や歯に存在していて、骨の溶出と形成を常に繰り返しながら恒常性を保っているとのこと

日本人はカルシウムが不足しがち

推奨量は女性で650mg/日、男性で800mg/日です

しかしながら日本人はおおよそ400mg~500mg/日程度しか摂取していないとのこと

乳製品の消費が多い欧米に比べると、日本人の摂取量は少ないと言われています

 

主に骨ごと食べるタイプの魚介類や、チーズに含まれます。イメージどおりですね

チーズであればおおよそ100g程度で推奨量に達しますが、牛乳だと700ccほど必要です

年取ってから骨折すると活動量が急激にさがるので、今のうちから気をつけておきたいところですねー

ただしサプリメントで摂取すると心疾患系リスクがある

カルシウムの過剰摂取によって起こる障害として、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などが挙げられる

(中略)2015 年版4)と同様、不確実性因子を1.2、最低健康障害発現量を3,000 mg とし、耐容上限量は2,500 mg とした。日本人の通常の食品からの摂取でこの値を超えることは稀であるが、サプリメントなどを使用する場合に注意するべき値である。2008 年、2010 年にカルシウムサプリメントの使用により、心血管疾患のリスクが上昇することが報告されている98,99)。この報告に対しては様々な議論がある100)が、通常の食品ではなく、サプリメントやカルシウム剤の形での摂取には注意する必要がある。また、ビタミンD との併用によっては、より少ない摂取量でも血清カルシウムが高値を示すこともあり得る。

サプリメントで補いたくなるカルシウムですが、心疾患系のリスクが上昇する可能性が示唆されています

さらに、ビタミンDや他の栄養素との相乗効果で吸収量が大幅に変わるのでコントロールしにくいところ

サプリメントで摂るのは避けたほうが良さそうですね

マグネシウム(重要度★★)

マグネシウムが欠乏すると腎臓からのマグネシウムの再吸収が亢進するとともに、骨からマグネシウムが遊離し利用される他、低マグネシウム血症となる。低マグネシウム血症の症状には、吐き気、嘔吐、眠気、脱力感、筋肉の痙攣、ふるえ、食欲不振がある。また、長期にわたるマグネシウムの不足が、骨粗鬆症、心疾患、糖尿病のような生活習慣病のリスクを上昇させることが示唆されているが、更なる科学的根拠の蓄積が必要である

カルシウムと比べるとややマイナーではありますが、快眠サプリに含まれることもあります

生活習慣病やメタボとの関係性は現時点では特定できていません

骨以外にも300種類以上の酵素の働きに関わっているということで、甘く見ないほうが良さそうです

欠乏症になることは稀だが、不足しがちではある

前述したように、マグネシウム欠乏により、様々な健康障害が出ることが報告されているが、通常の生活において、マグネシウム欠乏と断定できるような欠乏症が見られることは稀であると考えられる。

推奨量は成人男性で340mg/日、女性で270mg/日ほどです

海藻類や豆類に多く含まれる傾向があります

日本人の場合、やや不足がちではあります

サプリメントで摂取すると下痢の原因になる

 食品以外からのマグネシウムの過剰摂取によって起こる初期の好ましくない影響は下痢である。多くの人では何も起こらないようなマグネシウム摂取量であっても、軽度の一過性下痢が起こることがある。それゆえ、下痢の発症の有無がマグネシウムの耐容上限量を決めるための最も確かな指標になると考えられる

(中略)サプリメント等、通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量を、成人の場合350 mg/日、小児では5 mg/kg 体重/日とした。 なお、サプリメント以外の通常の食品からのマグネシウムの過剰摂取によって好ましくない健康影響が発生したとする報告は見当たらないため、通常の食品からの摂取量の耐容上限量は設定しなかった。

一応耐用上限量は設定されていますが、発生するのが下痢なのであまり強い基準では無さそうです

ただし、サプリメントだと1錠で300mgくらい含まれていたりするので、耐用上限量には達しやすいです

できる限り通常の食品から摂取したいですね

リン(過剰)

リンは、カルシウムとともにハイドロキシアパタイトとして骨格を形成するだけでなく、ATPの形成、その他の核酸や細胞膜リン脂質の合成、細胞内リン酸化を必要とするエネルギー代謝などに必須の成分である。

こちらも存在感がやや薄いですが、重要そうですね

食品に幅広く含まれるので欠乏リスクは低い

リンは多くの食品に含まれており、通常の食事では不足や欠乏することはない。一方、食品添加物として多くのリンが用いられており、国民健康・栄養調査などの報告値よりも多くのリンを摂取していることも考えられる。慢性腎臓病(CKD)ではリン摂取の制限も考慮されている。したがって、不足や欠乏の予防よりも、過剰摂取の回避が重要といえる。

(中略)平成28 年国民健康・栄養調査によると、リンの摂取量の中央値は957 mg/日である。ただし、この調査には加工食品に添加されているリンの量は加算されていないために、実際の摂取量はこの値より多いことも考えられる

欠乏のリスクは少ないとのことで、推奨量の設定もありません

現在の摂取量調査を元に目安量は一応設定されていて、成人男性で1000mg/日、女性で800mg/日です

魚介類、乳製品、大豆に含まれるほか、卵黄にも含まれます

加工食品が原因で過剰摂取が問題になっている

リンは、様々な食品に含まれている。加工食品などでは食品添加物としてのリンの使用も多いが、使用量の表示義務がなく、摂取量に対する食品添加物等の寄与率は不明である。

(中略)リン摂取量とPTH との関係は、古くより研究されてきている145─154)。食品添加物としてリンを多量に摂取した場合、総摂取量が2,100 mg/日を超えると副甲状腺機能の亢進を来すという報告がある145)。また、1,500〜2,500 mg/日の無機リン(リン酸)146,147)あるいは400〜800mg/食の無機リンを食事に添加することにより、食後のPTH レベルが上昇することも知られている148)。リンの過剰摂取は、腸管におけるカルシウムの吸収を抑制するとともに、食後の急激な血清無機リン濃度の上昇により、血清カルシウムイオンの減少を引き起こし、血清副甲状腺ホルモン濃度を上昇させるが149)、これらの反応が骨密度の低下につながるか否かについては、否定的な報告もある150)

リンは加工食品に様々な用途で添加されていますが、使用量の表示義務がありません

したがって外食や加工食品をよく食べる人は過剰である可能性が示されています

リンの過剰摂取によって、ただでさえ不足気味であるカルシウムの吸収が抑制されるほか、ホルモン分泌に異常をきたすようです

まとめ

さすがにナトリウムやリンはマルチミネラルサプリメントでも含まれていないことが多いです

しかし普通に生活していても過剰摂取になりがちなので気をつけたいところです

また、カルシウムについてはかなり明確にサプリメントの害が報告されているので、食品から摂取したいところです

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