食事摂取基準(2020年版)でわかる脂溶性ビタミン

私は生まれつきお腹が弱く、原因不明の疲れや肌荒れにも悩まされてきました

10代の頃から健康番組大好き、20代ではサプリメントを試しまくりましたが、効果はありませんでした

テレビやネットで「〇〇がいい!」と言われるたびに飛びついて、もはや何を信じていいかわからなくなっています

 

ということで基本に立ち返り、一番信頼できるであろう情報、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」を読んでみることにしました

今回は脂溶性ビタミンについてです

 

まとめ記事はこちら

 私は生まれつきお腹が弱く、原因不明の疲れや肌荒れにも悩まされてきました10代の頃から健康番組大好き、20代ではサプリメントを試しまくりましたが、効果はありませんでしたテレビやネットで「〇〇がいい![…]

 

本記事は日本人の食事摂取基準(2020年版)を健康オタクなエンジニアが読み解いてみて、要約してみたものです

医者や栄養士ではない著者ですが、専門的になりすぎない視点をお届けします

日本人の食事摂取基準(2020年版)はこちら

本記事を書いた人

  • 生まれつき下痢がち + 仕事のストレスで盛大に体調を崩す
  • 低FODMAP食+食事摂取基準で何とか回復

結論

私の主観で各栄養素に重要度★をつけています。

推奨量が設定されている栄養素は、科学的に摂取量が計算されていたりと、どれくらい摂取すべきかが明確です。一方で目安量ははっきりしていないことが多いです

摂取の難しさは、日本人の平均摂取量や食事からの摂りやすさで決めています

栄養素摂取量の基準摂取の難しさ重要度
ビタミンA推奨量★★★
ビタミンD目安量★★
ビタミンE目安量
ビタミンK目安量
  • ビタミンAは、摂取量が明確で、平均的な日本人では不足しています
  • ビタミンDは、日光と食事両方で摂取するので複雑です。魚介類がメインで摂取するのは難しめです
  • ビタミンEやビタミンKは、摂取量がはっきりしておらず、また通常不足することもないようです

ビタミンA(重要度★★★)

ニンジンに多く含まれるベータカロチンをご存じでしょうか

ビタミンAはベータカロチンなどを含む食品を食べると、体内でビタミンAとして働きます(レチノール活性というそうです)

ビタミンAの役割

ビタミンAが不足した場合に起きる代表的な不具合は、

  • 人では暗順応障害が生じ、やがて夜盲症になる
  • 皮膚では乾燥、角質化、免疫能の低下が起こり感染症にかかりやすくなる

ということで、おおよそ網膜細胞や皮膚を保護する役割があるようです

 

ヒト含めた動物においては、肝臓にかなり大量のビタミンAを貯蔵できます

この量は数ヵ月分にも及ぶようで、多少不摂生する程度で不足することは無いと思っていよいでしょう

しかし平均的な日本人は推奨量の半分程度しか充足していないので、慢性的に不足している状態と思われます

ビタミンAはどのくらい必要か

  • 成人男性:850〜900μg RAE/日
  • 成人女性:650〜700μg RAE/日

日本人の平均的な摂取量はこの60%くらいで、不足して健康被害が出るほどでは無いものの、推奨量に対しては慢性的に不足しています

 

代表的な食品に含まれるビタミンA量はこちら

食材 100gビタミンA量 RAE/日
キャベツ4μg
ほうれん草350μg
うずらの卵(水煮)480μg
ニンジン(皮付き)720μg
クロマグロ(赤身)820μg
鳥レバー14,000μg

色鮮やかな野菜、マグロやウナギといった一部の魚介類、そしてレバー(肝)に多く含まれます

ではレバーを食べたら手っ取り早そうですが、あまりにもケタ違いで多すぎるので過剰摂取のリスクがあると言われています。時々つまむくらいにしましょうね

ビタミンAを摂りすぎるとどうなるか

サプリメントやレバーを大量に摂取した場合で、健康被害があります

軽い例だと頭痛だそうですが、慢性的に過剰だと皮膚が剥がれ落ちたり、脱毛することもあるようです

食事摂取基準では2,700μg RAE/日を上限に設定していて、通常の食品では問題なさそうですが、レバーだと危ういですね

 

ビタミンAの排出量は一定で、ビタミンB群のように摂りすぎた分が尿中に出るようなこともほとんどないようです

とするとやはり蓄積しやすいので、日常的にサプリメントで摂取するのはお勧めできません

 

ほうれん草やニンジンにはベータカロチンというビタミンAに変換する前の状態で含まれています

これは必要分だけをビタミンAとして使うようで、過剰摂取のリスクは低いとのことです

ちなみにベータカロチンのサプリメントはかえって害になる可能性もあり、おすすめされていません

ビタミンD(重要度★★)

ビタミンD には二つの供給源がある。一つは、ヒトを含む哺乳動物の皮膚には、プロビタミンD3(7─デヒドロコレステロール、プロカルシフェロール)がコレステロール生合成過程の中間体として存在し、日光の紫外線によりプレビタミンD3(プレカルシフェロール)となり、体温による熱異性化によりビタミンD3(カルシフェロール)が生成する。もう一つは、食品から摂取されたビタミンD2 とビタミンD3 である (中略)ビタミンD の主な作用は、ビタミンD 依存性たんぱく質の働きを介して、腸管や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進することである。

ビタミンDは食品に加え、皮膚に紫外線が当たることでも合成することができます

(ただし日照量や皮膚の露出量に大きく影響を受ける)

骨折リスクに関わるほか、ホルモン分泌にも関わるとのこと

ビタミンDの不足について

ビタミンDが不足すると、低カルシウム血症(骨粗鬆症)のリスクが上がります

不足を回避するためには魚介類を食べるのがメイン

推奨量は15ug/日(70歳以下)ですが、これは日光合成分を含めたものです

骨粗鬆症予防として有名なビタミンDですが、供給源は人間の皮膚そのもの、及び食品です

 

食品としては魚介類ときのこ類に含まれますが、メインの供給源は魚介類でしょう

(鮭一切れなら25ug含まれるが、しいたけ100gには0.3ugしかない)

日本人のビタミンD総摂取量の8割が魚介類だそうです

 

皮膚に日光が当たることでも合成できますが、日照量や肌の露出によっても大きく変わります

5.5ugのビタミンDを合成するために、夏の那覇なら数分、冬の札幌ならほぼ合成されないか1時間以上かかります

 

私のようにインドア人間なら意識して摂取していきたい栄養素ですね

ビタミンDの過剰について

高カルシウム血症や腎障害が代表的な症状です

日光に当たることによるビタミンD過剰は生じないとのことです

日光合成分と食事摂取の合算であるためはっきりとした根拠は無いようですが、耐用上限量は100ug/日とのこと

 

サプリメントを除く通常の食事で達することは無いでしょう

ビタミンE(重要度★)

ビタミンE は、生体膜を構成する不飽和脂肪酸あるいは他の成分を酸化障害から防御するために、細胞膜のリン脂質二重層内に局在する。動物におけるビタミンE 欠乏実験では、不妊以外に、脳軟化症、肝臓壊死、腎障害、溶血性貧血、筋ジストロフィーなどの症状を呈する。過剰症としては、出血傾向が上昇する。通常の食品からの摂取において、ビタミンE 欠乏症や過剰症は発症しない

次は抗酸化ビタミンとして有名なビタミンEです

現状の日本において、過剰摂取も欠乏もあまり見られないことから、厳密な下限、上限は定められていません

目安量ではおおよそ6~7mg/日程度、上限は800mg/日程度と考えられていますが、それほど強い証拠はなさそう

 

全体的にビタミンEに関しては人体への影響がはっきりしていなさそうですね

ビタミンEをサプリメントで摂るのはオススメできない

ビタミンE のサプリメントを用いた多くの介入試験の結果は、冠動脈疾患発症に対して有用であったとする報告と全く効果がないとする報告、さらに、かえって死亡率を増加させるとする報告まで様々である98─101)。また、過剰量のビタミンE と骨粗鬆症の関連を示す報告102)があったが、動物実験データであり、臨床データの裏付けがないことから、考慮しなかった。以上から、目標量の設定を見送った

サプリメントでビタミンEを補給することに関しては効果不明、もしくはやや否定的です

個人的には、あえてサプリメントを買うことはないかなと思っています

ビタミンEは通常の食生活で不足することは考えにくい

植物油(コーン油や大豆油)、ナッツ類、緑黄色野菜など幅広く含まれます(自然由来の方が効力が高いとも)

特に植物油には大量に含まれる(コーン油10gに対して8mgくらい)ので、よほど不足しなさそうです

というか必要量自体があいまいですしね

 

上限量もかなり多いので、通常の食生活であれば気にする必要は無いかと

ビタミンK(重要度★)

ビタミンK は、肝臓においてプロトロンビンやその他の血液凝固因子を活性化し、血液の凝固を促進するビタミンとして見いだされた。肝臓以外にもビタミンK 依存性に骨に存在するたんぱく質オステオカルシンを活性化し、骨形成を調節すること、さらに、ビタミンK 依存性たんぱく質MGP(Matrix Gla Protein)の活性化を介して動脈の石灰化を抑制することも重要な生理作用である。ビタミンK が欠乏すると、血液凝固が遅延する。通常の食生活では、ビタミンK 欠乏症は発症しない。(中略)

以上より、骨折予防のためには肝臓の血液凝固因子活性化より多くのビタミンK を必要とすることが考えられるものの、現状では正常な血液凝固能を維持するのに必要なビタミンK 摂取量を基準として適正摂取量を設定するのが妥当と考えた。また、現時点では推定平均必要量及び推奨量を算定するに足る科学的根拠はないものと考え、目安量を設定した。

ビタミンEに続き、現時点では不足が問題になることが少なく、基準ははっきりしていません

おまけに血液凝固に必要なビタミンKの量も明らかでないとのことで、人体への影響はよくわからんところ

(あえて言うなら骨折リスクと関連しているかも?と言われている程度)

ビタミンKは通常の食事で不足することは考えにくい

前述の通りはっきりした摂取量の根拠がないので、目安量でざっくり気にすればよいかと思います

150ug/日が目安量です

 

食品的には納豆、緑黄色野菜に多く含まれます

納豆にかなり多く含まれるらしく、納豆を食べるかどうかで分布が大きくバラついているとのこと

(納豆100gで600ug, ほうれん草100gで270ugのビタミンKが含まれます)

 

普通に野菜食べたり、時々納豆食べている人なら気にしなくて良さそうですね

まとめ:緑黄色野菜を一日200g、魚を週に2~3回食べる

実際の食生活に応用するとしたら、緑黄色野菜を一日200g以上食べてビタミンAを摂りつつ、

週に2~3回魚を食べてビタミンDを補給する、という感じでしょうか

一人暮らしだと魚は遠のきがちなので気をつけたいところですね

 

ビタミンA及びビタミンEにはサプリメントを摂取するには不安があるので、個人的にはやめておこうと思います