世の中の怪しげな情報に惑わされないために大事なのは、まずオフィシャルな情報に当たることです
ということで、厚生労働省の栄養摂取基準である「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を読み解いています
今回は炭水化物についてです
↓総論はこちら

一日に必要な糖質はおおよそ100g
。基礎代謝量を1,500 kcal/日とすれば、脳のエネルギー消費量は300 kcal/日になり、これはぶどう糖75 g/日に相当する。上記のように脳以外の組織もぶどう糖をエネルギー源として利用することから、ぶどう糖の必要量は少なくとも100 g/日と推定され、すなわち、糖質の最低必要量はおよそ100 g/日と推定される。しかし、肝臓は、必要に応じて筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出されたグリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給する。したがって、これは真に必要な最低量を意味するものではない
脳が消費するブドウ糖量からおおよそ100g/日程度の糖質が必要だと推定しています
糖質は脂肪や筋肉から生成することも可能なので、100gを下回ったとしてもすぐ動けなくなるわけでもありません
ただしこの論理から、「糖質はタンパク質から得られるから、食事から取る必要は一切ない」
という論理を主張しているサイトもありますが、これは少々極端かなと思います
仮にそうだとすると、炭水化物摂取量が高い民族(沖縄とか)は不健康であるはずですが、そうではありません
一日の総カロリーのうち80%近くを炭水化物(主にイモ)で摂取して長寿な民族もいます
(筋肉隆々のボディービルダーも炭水化物は普通に摂取しております)
食事摂取基準では炭水化物の目標量が総カロリーに対する50~60%とされていますが、
”これはタンパク質と脂質を十分摂った上での余り”の側面があります
そういう意味で、”タンパク質や必須脂肪酸と比べて糖質の重要性が低い”という点は間違い無さそうです
糖質制限ダイエットの効果はあまり期待できなさそう
結果のばらつきは大きいものの、同じエネルギー量を有する炭水化物が有する減量効果は、同じエネルギー量を有する脂質及びたんぱく質と有意に異なるものではないとしたメタ・アナリシスが多い31─33)。これは、炭水化物摂取量の制限によって総エネルギー摂取量を制限すれば減量効果を期待できるが、炭水化物摂取量の制限によって減少させたエネルギー摂取量を他の栄養素(脂質又はたんぱく質)で補い、総エネルギー摂取量が変わらない場合には減量効果は期待できないことを示している。
糖質制限ダイエットについては効果が確認できていないようです(糖尿病患者にはもちろん効果がある)
”糖質だけ制限してもタンパク質や脂質を摂りすぎてカロリーオーバーしたら太るよ!”ということですね
やはり減量・増量の基本は総エネルギー管理が基本であるようです

単糖類・二糖類はは肥満や虫歯の原因になる
単糖及び二糖類、すなわち糖類の過剰摂取が肥満やう歯の原因となることは広く知られている27)。そのため、例えばWHO は、その中のfree sugar(遊離糖類:食品加工又は調理中に加えられる糖類)の摂取量に関する勧告を出しており、総エネルギーの10% 未満、望ましくは5% 未満に留めることを推奨している28)
糖質にも様々な種類がありますが、単糖類および二糖類についてはちょっと気をつけたほうが良いでしょう
特に遊離糖類(はちみつ、シロップ、果汁等)は少なく抑えることをWHOも薦めているようです
(美味しいですけどね)
可能なかぎり多糖類(デンプン質など)から摂取するのがよさそうですねー
食物繊維は一日20g必要だが、全然足りていない
、食物繊維摂取量は、数多くの生活習慣病の発症率又は死亡率との関連が検討されており、メタ・アナリシスによって数多くの疾患と有意な負の関連が報告されている稀な栄養素である。代表的なものとして、総死亡率7)、心筋梗塞の発症及び死亡8)、脳卒中の発症9,10)、循環器疾患の発症及び死亡8,11,12)、2型糖尿病の発症13,14)、乳がんの発症15,16)、胃がんの発症17)、大腸がんの発症18,19)などがある。例えば、食物繊維をほとんど摂取しない場合に比べて、20 g/日程度摂取していた群では心筋梗塞の発症率が15% ほど低かった8)と報告されている。(中略)
アメリカ・カナダの食事摂取基準では、上記の限界はあるものの、この基準を参考にすれば、成人では理想的には24 g/日以上、できれば14 g/1,000 kcal 以上を目標量とすべきであると考えられる。しかしながら、平成28 年国民健康・栄養調査に基づく日本人の食物繊維摂取量の中央値は、全ての年齢区分でこれらよりかなり少な
一方で食物繊維はかなり推奨されております
上記の沖縄の例でも炭水化物の多くをサツマイモから摂取しており、食物繊維を十分にとっていることが推測できます
日本の場合は一日20g前後を目標量として設定されていますが、
アメリカ・カナダの食事摂取基準ではおよそ24~28gの食物繊維摂取を推奨しています
現代日本人の食物繊維摂取量がはるかに少ないため、やや妥協的に設定されているのが実情です
しかし、食物繊維20gでも努力が必要です(ほうれん草で言えば600~700g)
通常の野菜やフルーツに加えて、海外では全粒穀物がすすめられています
このように、食物繊維は数々の疾患の発症率を下げる可能性があると言われるめずらしい栄養素です
時々、炭水化物(糖質+食物繊維)と糖質を混同して悪者扱いしているケースがありますのでご注意ください
これは情報の信憑性を疑ったほうがよいでしょう
サプリで食物繊維を補えるかどうかは微妙なところ
ところで、目標量の算定に用いられた研究の多くは、通常の食品に由来する食物繊維であり、サプリメント等に由来するものではない。したがって、同じ量の食物繊維を通常の食品に代えてサプリメント等で摂取したときに、ここに記されたものと同等の健康利益を期待できるという保証はない。さらに、食品由来で摂取できる量を超えて大量の食物繊維をサプリメント等によって摂取すれば、ここに記されたよりも多くの(大きな)健康利益が期待できるとする根拠はない。
サプリメントの使用に関してはしっかりと釘を刺されております
難消化性デキストリンやフラクトオリゴ糖等が整腸効果があるとして人気ですが、
体質に合わない場合はガスや下痢を引き起こします
あくまでも食品をベースにして、補う程度が良さそうです
アルコールは基本的に少ないほうがよさそう
少量のアルコールを習慣的に摂取している集団は飲酒習慣を持たないか、ある一定量以上の摂取習慣を有する集団に比べて、心筋梗塞の発症や死亡48)や糖尿病の発症49)が少ないとの報告が存在する。その一方で、口腔がんを筆頭に、飲酒は数多くの種類の発がんリスクを上昇させることが多くの研究で示されている50)。また、195 か国のデータを統合したメタ・アナリシスは、飲酒が関連するあらゆる健康障害を総合的に考慮すると、アルコールとして10 g/日を超えるアルコール摂取は健康障害のリスクであり、また、10 g/日未満であってもそのリスクが下がるわけではないと報告している51)。
この文章はやや微妙で読み取りにくいところです。私なりに解釈すると、
”アルコールの飲み過ぎはもちろんダメだが、少量なら健康にいいというわけでもない”
でしょうか
酒は百薬の長と言いますが、現代科学的にはそうでもないのかもしれませんね
ちなみに10gのアルコールとは、おおよそビール300ml程度です
私はほとんど飲まないので問題ないですが、酒飲みには辛かろう…
まとめ
個人的には糖質制限そのものには賛成でも反対でもありません
ただ糖質の優先度が低いのは同意するところなので、タンパク質や野菜を優先して食べていきたいところ
タンパク質と野菜をたっぷり摂ったら、炭水化物の量も自然とそこそこに落ち着くのでは?と思っております
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