栄養について発信するのは難しい、というひとりごと

私は医師でもなければ管理栄養士でもない。

それでも食事や栄養についてブログを書いています

ブログも3年目に入りましたが、私自身このことはいつも心に引っかかります

 

きっと食事や栄養というテーマは、素人がブログに書くには重すぎるのでしょう

今からブログを始める人がいたとして、まったくオススメできるものじゃありません

 

ブログを書くことだけ考えればすこし邪魔な感情ですが、

忘れてはいけないような気がして、書いておこうと思いました

〇〇を食べれば健康になる!…本当に?

世の中に”食べるべきでない食材”は存在しない

私のブログではおおよそ、このようなメッセージを発信しています

  • 栄養が豊富そうな食材をたくさん食べよう!

そりゃそうだ、という感じですね

でも、今のインターネットには栄養が豊富でない食材はないんです

 

試しに「もやし 栄養」で検索してください。もやしに栄養がある証拠が山のように見つかります

きゅうりでもいいですし、レタスでも構いません

どんな食材も(もちろんサプリメントも)、なにかしら栄養豊富で、食べない理由はないのです

 

スーパーで手に取るときに背中を押してはくれますが、このままでは選べません

どんなに正しい情報も、自分にあっているとは限らない

栄養を考えて食材を選ぶなら、いくつか情報を集めなければいけません

  • どの栄養素がどのくらい不足しているか? → 国民健康・栄養調査
  • どの栄養素をどのくらい摂るべきか?   → 食事摂取基準
  • どの食材にどれくらい栄養があるのか?  → 食品データベース

それぞれ厚生労働省や文部科学省が出していて、国内外の論文や調査を元にしています

なので信頼性は日本で手に入る中で間違いなく最高、しかも中立です

(研究者も人間です。スポンサーがいると結果が偏る可能性があるのです)

 

そんな信頼できる情報を元にしても、確実に言えることは多くありません

どの情報も”統計”でしかない

国民健康・栄養調査は”健康な人”に”自己申告”で調査しています

すでに体調不良がある人の栄養状態はわかりませんし、

罰則もないのに不健康な食事は過小に申告される傾向があるようです

 

食事摂取基準は人が摂るべき栄養が一覧になっています。しかし、

「この栄養素が不足 or 摂り過ぎたらこういう症状がでるよ!」

が基本の立ち位置なので

「この栄養をとれば健康になる!」

言っているわけではないことに注意しないといけません

 

食品データベースを見れば食材ごとの栄養素が分かりますが、

旬や産地、調理法、保存期間や条件などの違いで栄養素は大きく上下します

下痢しがちな人であればいくら食べても吸収しにくいですしね

 

調べるほど、人と栄養の関係はよくわかっていないことがわかります

調べれば調べるほど、どんどん確かなことが言えなくなってくるのです

栄養なんて適当でも元気な人もいる

毎日のように暴飲暴食しても、元気ハツラツで肌ツヤツヤな人もいます

その一方で私のように、必死で体調管理してもなかなかよくならない人もいます

悔しいことですが。

 

体質は本当に人それぞれで、アレルギーやFODMAPのように特定の食材が合わない人もいます

そもそも体調は、食事だけではなく運動や睡眠、ストレスなど総合的に決まるものです

ちなみに私の場合、同じ環境で育った姉はものすごく丈夫です

じゃあ栄養なんて気にするだけ損じゃん

そうですよね

そう思うことは私自身しょっちゅうあります

 

でも、

「食べたいものを食べるのが一番健康なんだ!」とか、

「日本人には日本古来の食生活が一番だ!」

というのは少し思考停止な気がします

 

食べたいものを食べていて健康になれるなら肥満や生活習慣病なんて存在しないし、

日本古来の食生活が一番なら日本が平均寿命を更新し続けているのもおかしいです

(もちろん食以外にも医療の進歩とか要因は色々とあります)

 

今の生活を正当化しても自分が抱えている体調不良が良くなるわけでもないし、

やっぱり私も人間なので、できれば近道して健康になりたい。

野菜を400g食べるより、200gで済むならそのほうがうれしい。

 

だから私は、結局のところ一番正しいと思われる情報にすがるしかないんです

結局どうすればいいんだろう?

私達はバランスをとらなければいけないんだと思います

 

「そのとき食べたいものを食べるのが一番だ!」

という気持ちもよくわかります。人生の楽しみの一つです

仕事で疲れた帰りに同僚と食べる豚骨ラーメンチャーハンセットはすごく美味しい!

 

一方で健康のためにボディビルダーのようなストイックな食事をするのもいいですよね

自分に自信をつけるのに見た目は重要ですし、食事を正すのはその一番ピンです

ただ、やりすぎると退屈になってきますし、子供や大切な人と食事の時間を共有できなくなってしまいます

 

怪しげな健康食品やダイエット法に頼りすぎるのでもなく、

高いお金や求められてもいない手間をかけて自然食品にのめり込むのも避けたいところです

極端に言えば、いま体調に問題がないならそのままの食生活でも全然OKでしょう

 

健康と楽しみの真ん中の気持ちいいところが正解なんだと思います

このバランスのとり方だけは、医師にも管理栄養士にもできません

人の体質はそれぞれで、食の好みも違えば、ライフスタイルも違うからです

 

このブログに価値があるとしたら、この部分だけなんだろうなと思います

 

このブログで書くのは、私のバランスのとり方と、そう考えた理由、そしてやってみた結果だけです

それ以上踏み込んではいけないと思っています

「〇〇を食べたら元気になる!」とか「〇〇という食事法はダメだ!」という主張は、

すごく慎重にしなければいけません。(もしかしたら古い記事だとあるかも)

 

人と栄養の関係性は分かっていないことだらけですし、

低FODMAP食のように新しい概念が見つかることだってありえます

99人にはあまり意味がなくても、誰か1人にとても効果的かもしれません

 

さいごに大好きな本の一つ、「データ栄養学のすすめ」から引用させていただきます

もう一つは、「食事と栄養の乖離」です。(中略)食事の役割はおいしさや楽しさと言った快楽(または文化や芸術)の追求が中心になり、体が必要とする栄養は食事と呼ぶべきもの以外から取ろうとする流れです。  ※”はじめに”から抜粋

離れ離れになった食事と栄養をどうすれば両立できるだろうか

このブログではそこに集中したいなと思います

 

最近サボり気味の現場からは以上です