食事摂取基準(2020年版)でわかる一日に必要なタンパク質量

健康について学ぶ厚生労働省から学ぶ栄養
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世の中の怪しげな情報に惑わされないために大事なのは、まずオフィシャルな情報に当たることです

ということで、厚生労働省の栄養摂取基準である「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を読み解いています

今回はタンパク質についてです

 

↓総論はこちら

食事摂取基準(2020年版)でダマサれない栄養知識を身につける
栄養周りの情報はとにかく玉石混交で、商品マーケティングのために発信されていることも珍しくありません。必要以上に不安をあおられないようにするために、まずは厚生労働省の栄養摂取基準で基本を学びましょう!
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タンパク質は必ず摂取しなければいけない超重要な栄養素

たんぱく質(蛋白質、たん白質、タンパク質、protein)とは、20 種類のʟ─アミノ酸がペプチド結合してできた化合物である。たんぱく質は他の栄養素から体内で合成できず、必ず摂取しなければならない。(中略)たんぱく質は、生物の重要な構成成分の一つである。また、酵素やホルモンとして代謝を調節し、ヘモグロビン、アルブミン、トランスフェリン、アポリポたんぱく質などは物質輸送に関与し、γ─グロブリンは抗体として生体防御に働いている

この文章から私が解釈は2つあります

①人間は牛ではない

何を当たり前のことを、と思われるかもしれません

しかし、(菜食を勧める)一部では

「草食動物は植物ばかり食べてマッチョなんだから人間も可能である」的な文章を見かけます

ちょっとこの論理は過激なのでご注意ください

 

草食動物が草だけ食べてマッチョなのは、下記の側面があります

  • 植物を”大量に”食べることで微量なタンパク質をかき集めている
  • 腸内にアミノ酸を作り出す微生物がいて、それを食物繊維で培養している

あなたが牛のように毎日キロ単位の植物を食べ、腸内に特別な微生物がいるなら可能です(つまり人間は牛ではない)

 

ただし、パプアニューギニアの少数民族のようにほぼ芋だけでマッチョな体を持っている人種もいます

人類の可能性としてはありえそうですが、現代日本人がいきなり見習うのは厳しいかと思います

現実的な菜食主義の皆様は豆や小麦などからタンパク質を摂ってます

②タンパク質は筋トレをする人だけのものじゃない

タンパク質(プロテイン)と聞くと、ボディビルダー的な筋トレする人のものというイメージがありませんか?

文章中にもあるように、酵素やホルモン、免疫にも関わっているというのはちょっと意外なところ

もちろん肌や髪の毛、爪もタンパク質なので健康的になりたいなら欠かせませんねー

 

私個人の体験談ですが、タンパク質が不足していた時期は寝付きが悪かったりしました。不可欠アミノ酸であるトリプトファンが不足していたからなのか…おそらく複合的な要因ではあると思います。

一日に必要なタンパク質の量には諸説がある

”0.66g/体重1kg”が必要最小限のタンパク質摂取量

アメリカ・カナダの食事摂取基準では19 歳以上の全ての年齢区分において男女ともにたんぱく質維持必要量(平均値)を0.66 g/kg 体重/日としており1)、2007 年に発表されたWHO/FAO/UNU によるたんぱく質必要量に関する報告でも同じ値を全年齢におけるたんぱく質維持必要量としている2)

WHOでは一日に必要なタンパク質の量を、体重1キログラムあたり0.66gとしています

これは体重60キロであればおよそ40g、鶏もも肉ならおよそ250g程度に相当します

(単純計算です。肉以外にもタンパク質は含まれます)

 

ただしこの量は体を維持するための必要量であり、現実的にはもう少し余裕を持つ必要があります

“1.0g~1.5g/体重1kg”が健康を目指すタンパク質摂取量

これを踏まえて厚生労働省が定めている目標量は、総カロリーの13%~20%をタンパク質とすることです

仮に一日のカロリーが2000kcalとすると260~400kcal、すなわちタンパク質の摂取量は65~100g/日となります

体重や活動量によっても変わりますが、おおよそ”1.0g~1.5g/1kg”と言えそうです

 

鶏もも肉で換算するとおよそ400g/日です。結構多いですね

国民健康・栄養調査を見る限り平均的には摂取できていそうですが、ダイエット中や外食が多い方は注意が必要です

カレーやパスタのような炭水化物・脂質メインの食事だと意外と不足します

”1.5g~2.0g / 体重1kg”が隠れた理想かもしれない

3─1─1─3 指標アミノ酸酸化法
(中略)窒素出納法を用いて得られた必要量よりも一様に高く、そのため、窒素出納法によって求められた値は真の必要量よりもかなり、例えば40〜50% 程度、低いのではないかとする意見がある22,23)。

これまで出てきた必要量は窒素出納法という測定法で評価されています

しかし、この方法はタンパク質摂取量を低く見積もってしまうことが問題視されています

人間の先祖である狩猟採集時代は総カロリーの35%、およそ倍のタンパク質を摂取していたとする推定もあります

 

とはいえ科学的根拠は乏しいとのことで、この基準化は見送られています

仮にこれを考慮すると1.5g~2.0g/1kg、体重60kgであれば90g~120gのタンパク質に相当します

これはかなり大変です。プロテインを使わないと厳しいでしょう

タンパク質を摂るときの注意点

タンパク質は腸内環境を悪化させやすい

タンパク質自体は必要な栄養素ですが、腸内環境を悪化させやすい側面があります

野菜やフルーツを一緒に(たくさん)食べるのを忘れないようにしましょう

腎臓に問題がある人は取り過ぎに注意

最も関連が深いと考えられるのは、腎機能への影響である。健康な者を対象としてたんぱく質摂取量を変えて腎機能への影響を検討した比較試験のメタ・アナリシスでは、35% エネルギー未満であれば腎機能を低下させることはないだろうと結論している。

タンパク質をたくさん摂取することに対して、腎機能への影響が触れられています

しかし、総カロリーの35%がタンパク質となるとものすごい量なのでよほど気にしなくて良いかと

(毎日1キロ以上の肉を食べる計算です)

このように、全体としては、低たんぱく質(0.8 g/kg 体重/日より低摂取)は、慢性腎臓病の病状の進行を遅らせるために有用であると考えられるものの、推奨すべき摂取量の範囲や、そのような食事療法を行った場合の効果の確実さについては、まだ結論が得られていない。

強いエビデンスはなさそうですが、既に腎臓病の方はやや控えめにしたほうが良さそうです

高齢者はやや多めにタンパク質を摂ること

高齢者に関してはやや多めを摂取することが望ましいとされています

ところで、若年及び中年成人に比べて高齢者では、たんぱく質摂取に反応して筋たんぱく質合成が惹起されるために必要なたんぱく質摂取量が多いとする研究報告が存在する56─58)。これは加齢に伴って減少していく筋肉量及び筋力を維持する上で、つまりサルコペニアを予防する上で、若年及び中年成人に比べて高齢者では多くのたんぱく質摂取が必要なことを示している。

加齢によって全体的に栄養の吸収能力が落ちるからでしょうか

確かに肉をモリモリ食べる親戚は長生きでしたね。そういえば。

その他不確かな話

食事摂取基準には科学的に不確かな話もあります。参考までに

  • 高タンパク質摂取で糖尿病リスクが上がるかは明らかではない
    • 植物性たんぱく質は関連なし、または予防的に働いているかもしれない
  • 高タンパク質摂取が血圧低下につながる可能性があるが、具体的な量は分からない
  • 高タンパク室摂取で骨折予防につながる可能性があるが、研究結果にはバラツキが大きい

”分かっていない”ということを知っておくのは意外と大切です

なぜなら、世の中の怪しげな健康食品はごく少数の研究結果を引用していたりします

知識があれば、”すごく効果を謳ってるけど科学的には微妙なんだな”と冷静に見ることができます

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